新幹線でのFOMA、少し向上?
◎F900iはもともと感度が悪い
今年の2月に新幹線で往復したときは、F900i(富士通製)の通信安定度は、かなり厳しかった。
一応断っておくが、もともと、富士通製のFOMAは、電波の掴みや感度に関しては、FOMAのラインナップ中でももっとも悪い部類に属する。(ただし最新のD900iについては僕自身は未チェックだが)
業務用端末を除けば最初に出た富士通製FOMAの「F2051」は、数ヶ月メインとして利用したが、着信率の悪さや、「圏外」表示の多さには悩まされたものだ。その後の「F2102V」については、仕事の関係上で数日に渡って試したが、やはりF2051よりも電波感度が向上したという感じはしなかった。
F900iについては、この2モデルよりは電波感度は向上しているが、それでも、旧世代のP2102VやN2102Vあたりと比べても、ちょっとの差で劣る。現時点(04年7月)でも、P2102Vでギリギリ1~2本立つ場所ですら、F900iが「圏外」となる場所もちょくちょくある。
余談だが、F2102Vは今では型落ちとなっているため、かなり安価に(店によっては0円)購入することも可能で、ヴィヴィッドカラーの『赤』もラインナップされているせいか、最近でも、F2102Vを使っている女の子などを電車などで結構見かける。 それを見るたび、「あぁ、きっとショップでもF2102vの感度が悪いことなど、まったく聞かされないで買っているのだろうなぁ」と、忸怩たる思いがしてしまうのだ。そりゃ、キャリアとしては、同じFOMAでもメーカー間で、こうも基礎性能に開きがあることを公言はできないんだろうが、こういうところから、「FOMAは電波が悪い」という悪評は広がっていってしまうのだろうと思うと、ドコモももう少し、オフィシャルにアナウンスしづらい情報を上手に公開していく方法について、まじめに考えるべきじゃないのかと思ってしまう。
◎平地や都市部ではかなり安定
少々脱線したが、ともあれ、新幹線での感度は若干の向上が見られたように感じた。
2月の段階では、東京を出立してすぐ、推定100km/h未満で品川や川崎近辺を走っているときですら、かなり接続が不安定だったが、今回は、少なくともそうした大都市近辺で遅い速度で走っているときは、接続にはそれほど問題は見られなかった。
基地局がチューニングされたのだろうか?
また、高速(200km/h以上)で平地を走っているときの接続もかなり向上している。特に、見晴らしの良い平野部を高速で通過しているときは、かなりの確率でiモードもちゃんと繋がる。場合によっては、都内の電波状態の良いところでimenuに接続するスピードと、何ら遜色のない速度でちゃんと繋がる。
のぞみで3時間強の往復路を移動してみて、だんだんと接続する前から、「ここは繋がるかな?」というパタンがわかってきた。とにかく、開けた平野部では、かなりちゃんと繋がるのだが、山間部などを移動しているときは、これまた相当の確率で接続に失敗する。
2GHz帯の電波特性のせいなのかもしれないが、平野部と山間部での感度の差はかなり顕著であって、こうした違いを「わかっていて」使う人ならば、東海道新幹線でのFOMAの接続については、ある程度満足の行くレベルにはなったと言えそうだ。
いずれにせよ、ここ4ヶ月だけでも、ネットワーク側にそれなりに向上が見られたのだから、今後はさらなる向上も期待できるのかもしれない。
ただし、FOMAについては、電波感度・着信失敗率などという、携帯電話としてもっとも基礎的な性能について、鳴り物入りで登場した900iシリーズも、旧世代の2051、2102Vと比べあまり向上が体感できなかったという事実もあり、今後も、本当に着実な基礎性能の向上が見られるかどうかは、余談を許さないところだと思う。
◎通話に関しては「最初から期待しなければ‥」
ただし、通話となるとこの限りではない。
やはり、依然として新幹線での通話安定度はmovaに劣る。ただし、このへんは「確率論で言えば」というレベルであって、movaだって、さらに言えば他キャリアのケータイだって、新幹線で平気に通話できる端末などはないのだから、あくまで「比較の問題」であると思う。
こうした違いに納得できるか、それとも納得できないかというのは、個人の感覚によって相当の開きがあるので、ここで細かい数値を挙げても仕方がないと思う。
◎あまり細かく議論する話題ではないのかも
前述のように、こうした電波感度の問題について言えば、とにかく個人の感覚、利用パタン、生活地域、そして「ケータイを操作する」という基本的なリテラシーの差がモロに出てくるものだ。
僕自身は、FOMAは依然として、「電話をあまり使わず、メールやネット中心に使う人」にとっては、かなり満足の行くチョイスだと思っている。また、通話の確実性よりも音質を重視したい人などにも、第三世代のFOMAは良いチョイスであることは間違いない。
そもそも、「電話が繋がるかどうか」という比較に、絶対的な基準というのは、実はあるようでない。
それをハードウェアの性能の問題だと思っている人も少なくないようだが、電話というのは、もともと相手がいなければできないものである以上、絶対性能だけで語れる議論ではない。むしろ、一種の「社会的コンセンサス」の上に成り立っている基準だと思う。
たとえば、世間の多数派が依然としてmovaユーザーなら、FOMAはそれと比較して、「電話が繋がりにくいケータイ」と評価されるかもしれないわけだ。だが、数年後にFOMAのシェアが上がってくれば、(万一、FOMAの電波感度にまったく向上がなかったとしても)人は、「電話が繋がらないコト」それ自体を、ひとつの「常識」として認知するようになるだろう。
そうなったらそうなったで、おそらく、一部のマニアックな人たちだけが「昔の携帯電話はもっと繋がりがよかった」と呟いているようなコトになるんじゃないだろうか。
商品が進化することで、その基礎性能がむしろ下がった実例などは、この世にいくらでもある。たとえば、一眼レフがそうだ。 最近の一眼レフは、メガネをかけた人の使い勝手を考慮して、ファインダーから目を遠ざけても視界が確保されるように作られているが、その結果、ファインダーの『視野率』という基礎性能では、昔の製品よりも性能が下がってしまった。また、オートフォーカス用センサーに映像を通過させるためにファインダーも暗くなっており、カメラとしての基礎性能は、20年前のカメラよりもかなり下がってしまっている。それでも、ピント合わせがうまくできないという「多数の要求」に応じて、プロダクツは変化してしまったわけだが、専門誌を除けばこうした指摘がされることはほとんどない。 今後仮に、W-cdma方式が通話には難があると評されたとしても、世間のケータイに対するニーズが、通話よりもデータ通信中心になったら、「高速通信を確保できるW-cdmaの方がありがたい」という評価は「常識」となるかもしれないだろう。
しかし、僕が900iのプロモーションに対して疑問を感じたのは、こうした、本来、個人の要求に応じてチョイスされるべき問題を、「世界最強ケータイ」などという、「うそ」で宣伝するドコモのやり方である。
そもそも携帯電話は、一体何をもって「世界最強」と評されるのか?その基準すら明らかでないわけだが、ケータイがあくまで携帯「電話」である以上、「通話の確実性」は、もっとも優先される評価軸でなければならないはずだろう。
ドコモが第三世代へのシフトを急ぎたい事情はわかるのだが、だからと言って、プロモーションの常套句である「最強」とか、「みんな使ってますよ」的宣伝をするのは、シェア一位の会社の責任という観点から見ても、いかがなものかと思う。
僕は、第三世代ケータイというのは、そういう性質のサービスではないと思う。付加価値の高いサービスである以上、本当に必要だと思った人だけにバリューを訴求し、ちゃんと納得した上で使ってもらうべきものじゃないかと思うのだ。
これからは、ケータイサービスも、マスマーケティングの時代を通り抜け、利用シーンの多様さ、人それぞれのニーズに応じたサービス/コンテンツが重視されるようになっていくだろうし、また、そうでなければならないと思う。
いつまでもマスマーケティングばかりを志向していると、サービスもコンテンツも、いつまでたっても最大公約数にばかりアピールする「わかりやすい」モノから脱皮することはできないだろうと思う。
仮に5年後、ケータイのキラーサービスが、まだ着メロに待ち受け画面だったら、ケータイユーザーは、いずれケータイを「卒業」して、興味の対象を他のもっとコアなモノに移してしまうだろう。
そうなってしまうことは、携帯電話会社にとって、決して得策ではないのではないか。
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