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2004/07/08

Vodafone負のスパイラル

ここのところ、ずっとVodafoneの3G、VGSの端末「V801SA」をFOMAと併用している。
V801SA.jpg
(画像)美点も多いが、完成度としてはまだ「荒削り」な印象のV801SA

もう長いことFOMAをメインにしてきた僕だが、実際に使ってみると、なかなかどうしてVGSは悪くない
僕の自宅でも、FOMAでもっとも電波の掴みが良いモデルである「SH900i」でも、「圏外」となってしまうユニットバスですら、V801SAはバッチリ着発信できるのには驚かされた。

先日の新幹線での神戸往復の際、FOMAと一緒にV801SAも試したのだが、新幹線での接続でも、すでにFOMAとほぼ互角という印象。「人口カバー率99.6%」というアナウンスもダテではないようだ。
さらに、少なくとも首都圏では、すでに地下鉄での整備状況もFOMAとほぼ同じタイミングで進んでおり、Vodafoneの3Gは、着々と整備されつつある。

しかし、しかしだ。

◎端末の多様さで圧倒するFOMA

ネットワーク品質において、FOMAと同等、場合によってはFOMA以上のクオリティを実現しているというのに、両社の明暗の差は歴然。
実質的に、選べるモデルが2機種しかないという、お寒い限りのVGSの状況に比べ、FOMAの900iはラインナップも分厚い。確かに(秋以降と噂される)ライトユーザー向けラインナップは欠くものの、少なくとも多様なデザインと機能のモデルがFOMAには揃っている。たった1年前と比べても夢のような状況だ。


◎FOMAのブレイクは冷静に見れば「当然」だった。

ほんの1年チョイほど前、携帯ビジネスに関わる人(ドコモ関係者以外)やらPC系出版社の人などから散々、「FOMAって全然ダメですよね」と、さもバカにしたように言われたものだ。
そのたびに僕は、「いや、FOMAは先々、好むと好まざるに関わらず、必ずブレイクするに決まってるんですよ。今のうちにFOMA向けのサービスに備えておいたほうがいいですよ」と、必ず答えていたものだ。(その頃に僕に会った人は覚えてますよね?(笑))

各種の指標や、キャリア・メーカーの行動の『力のベクトル』(『力の現状』ではない)など、ちゃんとデータを分析すれば、それは「当然」の結果であって、最近の、各コンテンツプロバイダがFOMAのもてはやすさまを見ていると、それからたった1年足らずだというのに、隔世の感がある。

◎裏目に出るVodafoneの施策

最近のVodafoneは、残念ながら、本当にやることなすこと「裏目に出ている」という印象を拭えない。
VGSについては、端末のラインナップを整備することができておらず、また、新規契約価格面でも、VGSは戦略的なインセンティブ政策が取れているともいいがたい。
各所で散々非難された、『ハッピーボーナス』適用者への一方的な実質値上げ措置にしても、損害を被るユーザーへの救済措置(解約料の免除)は、あまりにも遅きに失した。遠く英国にいる同社の意思決定者たちは、日本のユーザーの反応を完全に見誤ってしまった。

恐らく今月(7月)からは、Vodafoneユーザーの解約が増加すると予想されるが、すでにショップスタッフなどへのヒヤリングによると、「解約したボーダユーザーがauに流れ込んでいる」という話も聞く。

6月はひさびさに単月純増シェア1位に返り咲いたドコモだが、8月からはじまる、「auの定額料金実質引き下げ&WINニューモデル大攻勢」を前にして、このままだと7月も、あまり目立った動きのないはずのauが、『漁夫の利』を得そうな勢いである。
もともと、最近のau純増数増加の内訳は、どちらかと言えばドコモからの契約変更組が多く、Vodafoneからの契約変更に関しては、少なくともこの春先までは「案外少ない(KDDIコメントより)」ということらしい。
ところが、最近のVodafoneの一連の行動は、まさに、auに塩を送ってしまう格好となった。
きっとauの意思決定者たちは、さぞ喜んでいることだろう。

◎三菱自動車を思わせる「負のスパイラル」

最近のVodafoneを見ていると、状況こそ違えど、ユーザーへの対応を見誤って青息吐息となってしまった三菱自動車すら連想させられてしまう。

三菱車は、元来、世間でこれほど叩かれるほど悪いクルマではない。自動車評論家たちの下馬評では、「造りの良さではトヨタ社に次ぐ」と言う声すらあったと聞く。ところが、最近では毎日のように「クルマ炎上、またも三菱車」というニュースばかりだ。実際、クルマの炎上事故というのは年間で数千件も発生しているため、確率的に言えば、他メーカーのクルマも、明らかに、毎日相当な数が炎上事故を起こしているはずなのにだ!

ところが日本のマスコミというのは、近年ますます「2ちゃんねる化」しており、ツッコミ甲斐のある相手を見つけたら最後、徹底的にいじめまくる。要するに、「トヨタやホンダ、日産が燃えてもニュースにはならないが、三菱が燃えたら今ならばニュースになる」というわけだ。

◎「情報化社会の野蛮さ」を読みきれなかった企業の失策

とにかくVodafoneは、少なくとも第三世代携帯電話に関する限り、FOMAと比べてほとんど見劣りしないネットワーク品質を持ち(場合によってはFOMAよりも優れており)、エリア整備にも地道に取り組んでいる。現状、VGSの契約者数は20万名ほどに留まるが、少なくとも、FOMAユーザーが20万名しかいなかった頃の状況に比べれば、VGSは、当時のFOMAよりも、はるかにちゃんとしていると思う。

ところが今、巷のマスコミではこうした事実はほとんど書かれることがない。今、マスコミ的には、とにかく「Vodafone=落ち目」であり、そのおかげか、「VGS=よく知らないけどダメそう」というイメージすら、勝手に広がろうとしているのかもしれない。

それは、あたかも、たった1年ばかり前に「FOMA=よくわからないけどダメなんでしょ?」というムードが支配的だった時とまったく同じパターンである。(これだけは断言しておくが、1年前、すでにFOMAは、少なくとも首都圏で、電話よりむしろパケットを主体に使う人にとっては、その安いランニングコストとも相まって、「ベスト」と言っても良いほどの選択肢となっていたのにだ)

どうしてこんなことになるのか?結局、今の社会があまりにも情報過多なせいなのだろう。
ありとあらゆる分野に情報があまねく拡散して複雑を極め、さらには宣伝やらタイアップやら、恣意的な情報操作が溢れている今の世の中では、結局人は冷静にデータを集め、分析して判断することを最初から諦めてしまう。
「面倒な説明はいいから、ぶっちゃけ、一番いいのを教えてよ」と言う人がこの世には溢れている。そうなると、結果的に大多数に選ばれていくのは、多少難点のあるモノやサービスであっても、「教えてくれる人が一番たくさんいそうなモノ」になってしまうというわけだ。

実際僕ですら、もしも、あまりケータイに詳しくない女の子などに、「FOMAとVGSどっちがいいと思う?」と尋ねられたら、FOMAだと自宅の風呂場が圏外になってしまうことを自覚しつつも、「やっぱFOMAじゃない?」と答えてしまうと思う。
なぜなら、彼女の周囲にはFOMAユーザーなら結構な数がいるはずだが、VGSユーザーはほとんどいないはずだからだ。ケータイに詳しくない彼女にとっては、同じユーザーが多い方が、何かと有利であることに間違いない。
結局、コンピュータにせよケータイにせよ、複雑系のグッズというのは、絶対性能で選ばれているわけではない。『周囲が使ってるから使う』というと、「なんとも主体性がない」と思われるかもしれないが、それでも、周囲に使っている人が多ければ、やはり、さまざまな利点があるものなのだ。

そう考えると、Vodafoneの不調は、自業自得とは言え、気の毒に思えてくることもある。
でも、そんなVodafoneにも、まだまだあんな策やこんな策やら、起死回生のシナリオはあると僕は思う。
それが何かは勿論ここでは書けないけどね~。

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