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2004/08/13

死屍累々の無線VoIPオペレータ事業

平成電電など、自動販売機を利用した広域無線LANサービス

昨日は多忙で、この発表会に参加できなかったのが残念。
一昨年あたりから、例の「固定発携帯電話向け料金設定問題」などで平成電電が暴れてくれたおかげで、その分野での携帯キャリアの堅い守りに風穴を開けた功績などもあり、同社にはとても期待を寄せているのだけど。

でも、「無線VoIPによる定額使い放題の電話」みたいな概念って、本当に待望されてるよね。
一昨年あたりの鷹山への期待の高まりとか、昨年のJMネットによる大規模な投資集めと、計画的な(と噂される)破綻、さらには(前二社と同列に並べられたら迷惑だろけど)昨今のTD-CDMA方式への各社の実証実験に対するマスコミの熱い眼差しを見ていても、期待感の高さは伺える。

実際僕なども、特にPC系の事業に従事している方などから、よく「TD-CDMAって実際どうなんですかね?」と話題を振られるのだけど、実証実験をやっている事業者(除:ソフトバンク)や総務省まで、一通り取材したことはあるとは言え、実際TD-CDMAによるワイヤレスVoIPの進捗状況については、まだまだ勉強不足。
もっと勉強しなくっちゃ。

ただ、こんな勉強不足な僕でも、一つだけ言えるとするなら、ワイヤレスオペレータになるのって、どう考えてもそんなに簡単なことではない。
FOMAだって、基地局を一基増設するたびに、逐一周囲のすべての基地局について、アンテナの志向性などを人間の手でチューニングしなおしていると聞く。それは、かなりの「職人芸」の世界であるとも。
これが全国規模で、万単位の基地局整備となったら、カネがかかるのは勿論のこと、それだけの人数の技術者を、果たして新規に確保してこれるのだろうか?

特に、TD-CDMA方式に関しては、IMT-2000で認めらた第三世代「携帯電話」の規格ということも手伝っているのだろうか、「使い放題のVoIPケータイ」に対する幻想が明らかに先走りしすぎているという印象も否めない。
少なくともIPモバイルが現在都内で行っている実証実験は、あくまでPCデータカードでのモバイルデータ通信の段階に過ぎず、そこからリアルタイム性を確保しなければならないVoIPの実現にまで持っていくには、ハンドオーバー(複数基地局の自動切換え)や輻輳など、今後クリアしなければならない問題が山ほどある。
現実を見れば、クルマや電車で移動しながらでも、途切れることなく電話可能な仕組みなんて、まだまだまったく実験すら行われていないというレベルなのだが、人びとの過剰な期待感(夢というべきか)が、そうした「事実」すら覆い隠してしまっているように見える。

そのあたり、NTTが全国に張り巡らし済みの電話線に、要所要所の局舎でチョイと設備を繋げば、「ハイADSLサービスエリア一丁上がり!」みたいなワケには行かないわけで、単にカネがあればできるというような、そんな簡単な話じゃない。そういう意味では、既存のキャリアを買収でもしない限り、新規に参入した事業者がそれなりの無線通信サービスを提供できる可能性がそんなにあるとは思えないのだけど。

それに、この分野に限らず、まったく新しい形態の大規模事業というのは、「人がやらないことをやるのが好き」とばかりに情熱で参入した「先駆者」が、いきなり成功できるような確率は、残念ながら限りなく低い。

先駆者がクリアしなければならない問題は山積みだ。単に経営手腕やカネ集めという条件だけでなく、前述したような、技術を徹底させられるだけのオペレーション上の問題、従来業界秩序からの抵抗、さらには「本質的に、新しいものを受け入れる気などさらさらない大衆」という、最大の「バカの壁」も立ちふさがる。
それらすべての問題を、一社だけで解決するのは無理というものなのだろう。鷹山の事業計画が失速続きだったのも無理かなぬことだ。
後から続く者たちが、先駆者たちが切り開いた死屍累々の道を、少しづつ造って行くしかないのだろうと思う。

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