三井住友カードiD~インフォメーションアーキテクトはどこだ!?
このブログも最近は毎回のように新しいサービスや端末の導入報告ばかりで、なかなか突っ込んだ内容が書けていませんが。
NTTドコモがこの12月1日よりスタートしている、おサイフケータイによるクレジットカード決済プラットフォーム(決済ブランド)である、「iD(アイディー)」です。
今のところ、この「iD」対応のクレカは、ドコモが出資を行っている三井住友カードのみ。
早速新しいP902iで、このiDを登録してみました。
僕はもともとメインカードが三井住友でした。なのでPCからオンラインで簡単な申し込みをするだけで、1週間程度の簡単な審査(?)の後、「iDのID(固有のアクセスコード)」が書かれた書類が郵送されてきました。

(C)NTT DoCoMo
◎初回ダウンロード~登録でいきなりつまずく
さてさて、届いた書類を確認するなり、例によってほとんど「ご利用ガイド」などは見ずに、iアプリのセットアップに入ります。
まず「iDアプリ」をダウンロードしてソフト通信設定をすると「完了」という画面になり、
「iDアプリご利用の準備が完了しました。続けてカードアプリの設定を行います」
と表示されます。
そこから、
「サイト接続しますか?」「はい/いいえ」という画面が出るのですが、
「あれれ?もうアプリはダウンロードして登録したぢゃん。“完了”というからには、もう完了なんでしょ?」(この間わずか0.3秒)
と思い、そこで思わず「いいえ」を押してしまいました。
‥そしたら、そこからもうウンともスンとも先に進みません。
書類に書いてあったはずの「アクセスコード」を入力する場所すらありませんでした。
「ありゃりゃ?こりゃ一体どうしたことだ?」
◎「iD」を使うには、「2つのiアプリ」が必要
そこでハタと困ってしまい、ようやく「ご利用ガイド」の出番です。
ちょっと読んですぐに納得、
「な~んだ。iDを使うにはiアプリが2つ必要なのか!」
というわけで、今度は「ご利用ガイド」をしっかり見ながらやりなおし、2つのアプリをダウンロードして、ようやく「三井住友カードiD」の登録を晴れて終了したのでした。
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※読めばちゃんと、「iDアプリをダウンロード」「三井住友カードiDアプリをダウンロード」と書いてある。しかし、別に僕はドコモ社員でも三井住友の人間でもないので「iDアプリ」と「三井住友カードiDアプリ」が「別物」だなんて、わかるはずないでしょ。(笑)
どうしてこういう紛らわしい名前をつけるのかな。
◎「インフォメーションアーキテクト」はどこへ行った?
この2つのiアプリ、個別に見ればそれぞれ決して使いにくいアプリではありません。
(そもそも「三井住友カードiDアプリ」の方は、一度登録を完了したら単体では起動できません)
要するに、最初にこのiDを活用しようとするユーザーにとって最大の難所となるのは、「汎用的なiDプラットフォームのアプリ」と「個別の銀行アプリ」をそれぞれ準備しなくてはいけない、というところにあるわけです。
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※iDの利用には、「iDアプリ」と、「三井住友カードiDアプリ」の最低2種類のアプリが必要。ならば、「わざと紛らわしくしているのじゃないか?」と思えるほど似通ったネーミングは、まず改めてほしい。
‥さて、ここまで読んだ方は、(特に技術系の方やサービサー関係者は)「そんなん最初からご利用ガイドをちゃんと読めないお前が悪いんだ!」とか思っていませんか?
もしそういう感想を持つ方がいるなら、その考え方には僕は断じて反対しますよ。
‥僕はゲーム業界の出身です。
20代から30代中盤にかけて、無数のコンシューマゲームの企画開発に関わってきましたが、その仕事を始めた当初に先輩にうるさく言われ、また後には自らの後輩や部下にもしつこく言ってきたことがあります。それは、
「操作説明書をちゃんと読まないとスタートできないゲームは“クソゲー”である」
というものです。
◎「ご利用ガイド」など不要なサービス構築を目指してほしい
もしかしたらあなたは、「いや、ゲームのようなエンタテインメントと、iDのような実用アプリは違うでしょ」というかもしれませんね。
そうです。確かに違います。
ゲームは「実用物」ではありませんので、使う使わないはユーザーの自由ですし、所詮は趣味なので、本来マニュアルはユーザーに読ませてもかまわないのです。
しかし「実用アプリ」は違います。
それは実用に供するものであって、人によっては「否応なしに使うもの」です。特に昨今のようなカード社会ともなれば、別に「カードが好きで好きでたまらない!」などというヘンな人でなくとも、消極的選択肢としてクレジッドカードを使うことは大いにありえるはずです。
ですから、実用アプリこそ、「ご利用ガイド」などというものを読ませなくとも、スムースに登録が完了できるものではなくてはいけない、僕はそう考えていますが、皆さんはどう思われますか?
この三井住友カードiD、大変な勢いで使える店舗も増加中であり、「いったん登録をしてしまいさえすれば」「使える店舗数が増えれば」、きっと便利に使うことができるのでしょう。
しかし、おサイフケータイを、あるいはケータイクレジットを、これだけ国民的なインフラにしようと意気込んでいる割には、そのサービス登録の仕組みや利用ガイドの仕組みなどは、誰にでもわかりやすく説明する工夫が足らないと思います。
まず「ご利用ガイド」にもどこにでも、どうして「iDを使うには、2つのiアプリの登録が必要です」と大書しないのかが不思議です。
「いや、iDはプラットフォームだから統一したアプリがどうしても必要で、それに各社のカードアプリがぶらさがる形になるんですよ」と、担当者は説明したいのかもしれません。
しかしそんなこと、使うほうは知ったこっちゃーないんです。
普通僕たちがクレジットカードを使うとき、わざわざ2枚のカードが送られてきたりするでしょうか?
今までずっとわれわれにとってカード事業者は、銀行でも信販系でも一本化されており、消費者はそこに申し込むことで「1サービスにつき1枚のカード」をゲットしてきたわけです。
たとえば、位置づけとして「OS」のような存在である「iDアプリ」については、名称を「ドコモiDアプリ」でも、「iDベーシックアプリ」でも「iD基本アプリ」でも何でもいいですが、必ず、「対」となるもう1つの個別アプリの必要性を無意識に消費者にイメージさせる名称であるべきだと思います。
そこで「三井住友カードiDアプリ」については、「三井住友カードiDサービスアプリ」でも何でもいいですし、場合によっては思いきって「iD用モジュール」ぐらい言ってしまってもいいのかもしれません。
言葉の技術的定義や、カード会社とドコモの力関係などは、消費者にとってはどうでもいいことです。
こうしたネーミング1つとっても、キャリアや金融機関のお役所主義体質であるとか、両者の力関係に対するヘンな配慮であるとか、そういうどうでもいいことにばかりが見え隠れして、肝心の消費者への配慮はまだまだ不十分であるような気がしてなりませんよ。
‥もう1年以上もおサイフケータイを使い続けてきて思うことですが、携帯電話に決済や認証の仕組みを持たせることそれ自体は、確かに便利で有意義な仕組みであることは疑う余地はないようです。
しかし問題は、こうした個別のサービスにおける質のバラつきやサービスの完成度です。
これだけ高度な仕組みを国民インフラにしようというならば、サービスを提供する側は、もっと発奮してわかりやすい仕組みを作るよう心がけてもらわないと困ります。
インフォメーションアーキテクトはどこに行ったんだ?
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